報知器狂想曲 第二章
「オイ!MASA!そーっとソッチ側のケツ持ち上げろ、静かにな、静かに。このまま向こうの路地までハコんでチョッケツすっぞ。」
KENはこんな時にも冷静に事を運ぶ。
「NAOもしっかりソッチ持って持ちハコぶぞ」
犯行時刻は夜半すぎ、他人様の家の玄関脇から勝手に借りた原付バイクの鍵穴にハサミの片方の刃を差し込み、もう一つの取手側を持ち強引に廻す。そしてキック式でエンジンの振動と共に原付バイクがビンビンうなるのだ。
この手順を追ってバイクを集めた。
リーダー格のDAIが二台。やり手でクールなSEIは彼女のママの原付を拝借して、一台。TAKEが一台どこからか持ち寄り揃えたのだが、イキサツは謎。そして、KENとNAO、おれMASAで三台。合計、七台の原付バイクが集められた。
ガソリンなんかは350円で満タンに入り、150キロメートルくらいはしる。たしか。
盗んだバイクで走り出した少年たちはまるで、尾崎豊の歌に自分たちを重ねて夜の国道19号線を暴走した。
左右にハンドルを切ってローリングをかましたりクラクションを連奏させたり。ニケツでまたがりゲンボーをした時にはJAYとTAKUとYUKIも一緒に走っていた。
面白いことに溜まり場のDAIの家でDAIの母ちゃんがチーム名を百虎隊と言って、歴史にあるとされる白虎隊からとって白と云う文字を百にしてモジったトコロがパンチが効いている。
タカリ、恐喝、万引き、窃盗をする時に名乗るの原元一家、ケンカする時に決まって名乗るのは柏原一家、悪さして狂走した百虎隊。
時の羅列は覚えてはいないが、隣町の東部中学校と柏原中学校が揉めて喧嘩祭りだって時にオレタチが相手側に乗り込んで行った場所が一つ手前に地理的にある、某小学校だったんだ。
ソコに間違えていたら400ccのモノホンのゾク、なんだ、暴走族が乗るバイクがウォンウォンやって来て、
で、まあ、ヤキ入れられたんだよ。
ジモトじゃなの知れたパールハーバーと云う歳上の人達に。
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